将来の政策シナリオに基づく発電用水量の推定

2016年度修士 安藤 希美


 (→English)

持続可能な社会を考慮する上で、エネルギーと水は重要な役割を担っています。そしてそれらは深い結びつきを持ち、相互に依存しています。近年、その水とエネルギーの相互関係が注目されています。

 

本研究では、火力発電や再生可能エネルギーといった発電方法の選択が、将来の水資源に与える影響を、社会経済の状況の違いや気候変動の影響を考慮して評価することを目標としています。

 

例えば、温室効果ガスを削減するために原子力発電を選んだとすると、原子力発電は冷却水を大量に必要とする発電方法なので、水需要量は大きく増加します。

 

しかし、同じ低炭素エネルギーでも風力発電を選べば、風力発電は水をほとんど必要としないので、水需要を減少させることができます。

 

このように、発電方法の選択は温室効果ガスの排出量だけでなく、発電に必要となる水の量にも大きく影響を与えます。

 

そのため、本研究では“もしも持続可能な社会になったら…”や“もしも社会的格差が拡大した社会になったら…”といった将来のシナリオを想定し、その場合、どのような発電方法を選択するのか、それによって水需要量はどう変化するのかを推定し、その影響を評価しています。

 

この研究は、水問題を抱える国において、エネルギー政策を考える際に役立つことができると考えています。