Tipping point超過後の海面上昇による沿岸域浸水人口推定

 

2016年度修士 田渡 竜乃介


(→English)

地球温暖化による気温上昇のため、全球平均海水面は上昇し続けています。

21世紀末にはおおよそ+30cm~80cmの上昇が予測されていますが、気温があるTipping point(閾値:超えてはいけないライン)を超えると、グリーンランドや南極の陸上に存在している大量の氷が急速に融解や崩壊を始め、最終的には+数mの全球平均海面上昇を引き起こしてしまうと考えられています。

左の写真はベトナムのメコン川沿岸家屋の一例ですが、沿岸域には人口が集まり、水面からほど近い(約1m)ところでの生活を送っていることが分かると思います。

 

沿岸域の陸地では、都市の発展による人口増加や地下水の汲み上げによる地盤沈下などのため、ますます海面上昇による影響を大きく受けてしまうようになると言われています。特に東南アジア諸国や小さい島国については、経済的に大きな負担を負わなければいけないか、被害を防ぐための十分な対策が取れなくなると考えられています。

そこで本研究では4種類の将来CO2排出シナリオを用いて、何も対策せず気温がTipping pointを超えてしまう場合と、超えないように努力した場合の海面上昇量を推定しています。さらに、その海面上昇によって世界各国の人々がどれだけ被害を受けてしまうのか推計しています。

 

私たちがこのまま現在と同じ暮らしを続けると、自分たちの子供や孫の世代へと悪影響を残すような変化の引き金を引くことになるかもしれません。そのため、これから私たちはどのような適応・緩和政策を採るべきなのか、といったことを明らかにしていくことも一つの研究目標です。

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